日系企業様の米国支社・支店に於いて、この一年で益々ビザ取得の問題が厳しくなってきております。そんな厳しい米国進出の中でも引き続き社内の運営に苦労を苦労をされている赴任者や企業が少なくありません。米国拠点が人員管理、総務、人事面で専任を起用して運営する規模ではないという背景、またビジネス面では『経営の上層レベルの責任者が自ら赴任し、支店を経営するケース』が時代とともに減っている点も避けられません。

[ 事業面 ]

– 折衝 –

米国の先端技術の社会で、日本企業は、技術・経験・能力・期日厳守・品質等、最も信頼があります。問題は言語でのコミュニケーション能力ではなく、対応=その都度の常識判断と決断・提示・返答です。個人の判断と本社との疎通をどのように表現をし、取引先に返答するか。その曖昧さが結果的に『何を考えているのかわからない』騒動になり、ビジネスに繋がらないケースが多々見受けられます。ビジネスの本質、技術・価格や納期等では無く、米国ビジネス社会との“折衝”が鍵になります。

– 決断 –

大半の会話で“即決ができない”という印象を持たれてしまうと交渉には不利です。また確認、回答、決断、同意、を1~2日単位で進めている企業に対して、その流れに沿えない取り引きは遅れを取ります。他国籍の方々は決断・返答は早いが、“いい加減・約束を守らない”風潮が見られるので、日系企業は決断のスピードを速められれば商談の悩みは減ることでしょう。

– 書類/契約 –

英語で商談や契約をするので、通訳・翻訳・弁護士は避けられませんが、その書面の決済をするスピードを効率化することは重要です。米国での法務確認、幹部決済が2-3週間で下りるところ、日系企業の支社を通じて、本社・本社弁護士、和訳、会議(役員会)、部長承認、支社への通達で2-3ヶ月かかってしまい、取引が流れるケースがあるのも事実です。

– 提案 –

本社からの赴任者で、国際的なビジネス感覚に慣れた方でも、交渉・折衝は容易ではないようです。現地で信頼のおける経験者、専任のレップ(営業・交渉代行)制度の活用も大きな戦力となります。

[ 人事/総務面 ]

– 赴任者 –

赴任者選びから、ビザ取得、渡航契約、経費、着任、その後支社で慣れる。その期間は約1、2年がかりの庶務になりますが、その後、短期間で帰国、退職、現地で転職、あるいは罹患されるる、などケースは様々あります。
駐在員の初年度経費はその方の年収の約3倍。着任後は最低2倍。現地赴任で赴任者が孤独感に陥るケースも見受けられ、それにより退職や転職も起こります。会社側では、赴任者の帰国後の役職、ポジション、年齢をよく考慮し赴任計画を進める必要がありますが、企業によっては海外進出が初めてや不慣れな場合は赴任すること自体、不安材料になり、後任者にも悪影響を及ぼします。
長期間化した赴任期間で、あるいは短期間すぎたことで会社が損をするケースなど様々です。また赴任先の環境によっても事情は変わる中で、カリフォルニア(シリコンバレー)エリアは日系企業赴任者にとって、気候・治安・家族生活・教育環境を踏まえても世界で3位以内に入る赴任人気希望先で、帰国辞令を出すタイミングで退職を検討されるケースあります。企業側としては効率性を考えると、Lビザ/Eビザの一区切り、5年前後が理想と思われます。

– 現地雇用 –

最も多いトラブルで、原因としては、雇用・就労の日米の常識違いあるいは管理体制・差別管理の問題が第一。またルールや法律で守られているアメリカでは、何から何まで書面にて提示・同意を得る必要が本来あり、日本での常識は通用しないことが発生します。合わせて米国、特にカリフォルニア州は労働者を保護する傾向にあり、さらに問題がこじれ、裁判・法的な手段となった際には、不利に判決が下りたのではと思えるほど日系企業には困難な状況となるのが多々です。
主な事例:差別(男女、人種、赴任者と現地雇用、同性)、休暇(買取・有給)病欠(診断書、仮病)、解雇(原因、通達)。

– 総務 –

保険加入の有無。労災、ビジネス保険、赴任者の健康診断。それらの明確化。
赴任者・現地雇用者がお亡くなりになられるケースがあることも事実です。過去の事例では、事故:スキー事故、ヨセミテ登山中転落、交通事故。罰則:飲酒運転+事故⇨留置、家庭内暴力DVで逮捕⇨強制送還、死亡:心臓麻痺、就労中ストレスが原因の脳梗塞、睡眠中の過呼吸。など。
また、[ 赴任者選びから、ビザ取得、渡航契約、経費、着任、支社で慣れるまで。]など、約1年がかりの庶務になりますが、その後短期間で、帰国・退職・現地で転職、病気になられるケースもあります。精神・健康の総務管理の重要性。米国での保険・救急事情の配慮は是非行われてください。

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