ベイエリアの事業傾向
〜サンフランシスコ・サンノゼ・シリコンバレー〜

コロナ禍で上場した米国企業
〜デジタルで急変貌する事業形態〜

ベイエリアの事業傾向
本年、3月に新型コロナウィルスで不安と共に州政府から住民に発令された自宅待機命令は未だ続いてはいるものの、安心感が漂う待機となってきました。飲食店はどのエリアでも路面に野外席を設営、屋根や花壇にも囲まれ夏の終わりから秋にかけての快適な外食が楽しめるなど、このベイエリアではStay@Home常識で様々な事柄が変貌しています。

多くのレストランの前には野外での飲食ために様々なデザインの特設テラスの設置が一般的になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

会社の成長の変貌
米国西海岸の金融街(パロアルト/サンフランシスコ)。PRIVATE EQUITY / HEDGE FUND、そして何よりも個人の富裕層資金の豊富さから、デジタル業種へ産業の急変貌に大手運用会社・証券・投資銀行資金に加えて投資の強化をし始めているようです。

● サンフランシスコを拠点とするオンライン中古車委託販売のShift Technologies, Inc.は、従来のI P Oよりも多くの資本を調達し価値が上がったところにコロナウィルスが追い風となりオンライン自動車販売が増加。リバースマージャーで株式公開を予定していると発表した。
中古自動車販売のライバルとも言われる検索·販売·配車をすべてオンラインで完結できるサービスだけではなく実際に“自動車の自動販売機”も開設させ、シリコンバレーでも話題になっていたカーバナ(Carvan)社は資金調達にも成功し上場。

● OPENDOOR社(本社:サンフランシスコ)も同様に本年SPAC/Reverse Mergerで上場。動画で住まいを内覧して、決断、決済も全てデジタルで済ませるという事業です。創業して5年前後も経たない企業が、ビジネスモデルの成長期にSPAC/Reverse Mergerという手法で上場。今後は大型企業に吸収されるのか、独自で成長を続けていくのか、というコロナ経済での新たな事業の異変と成長に注目です。

● 歴史は繰り返される。ではありませんが、またしてもDatabaseのオラクル(賢者)から独立して創業された会社 ”snowflake”。DATABASEの基軸をiCloud手法で提供する事業。市場獲得で急成長した San Mateoサンマテオ所在のSNOWFLAKE社は、IT系では市場最高額の上場を果たしました。

日本企業、米国での成長変貌
一方、日本企業の米国市場での展開は、半導体/デジタル/AI/VR/バイオ産業での活躍が目立ちます。このような世情に向けて急成長を遂げる産業への資材/機材の販売が絶好調であるという背景があります。シリコンバレー所在の半導体関係企業への販売は、この半年平均で2−5割程度成長している傾向が鮮明です。
大手クライアント企業への生産ラインの増産がその要因。新たなAI商品(車、ビル、大型施設(特に目立ったのが新アメフト球場での機器))の機材や部品、技術投与が好調。
一方、飲食/観光などの産業は残念ながら多くの日系企業様が支社の閉鎖/人員削減を余儀なくされています。日系企業の大半が所在している、ニューヨーク、ロサンゼルス、シアトル、サンフランシスコ、ハワイ、での拠点削減や停滞は3−4割前後。ハワイでは8割−9割が停止・撤退、現地従業員の大半が解雇されました。飲食業では、地域によって大きなばらつきがあります。ハワイ、ニューヨーク(マンハッタン)はほぼ全滅。ロサンゼルス、シアトル、サンフランシスコは、現地に馴染んでいるローカル向けの事業体の大半は生き残るでしょう。いち早くデジタル手法を取り入れた企業は夏以降前年で売り上げを増している先もあります。

“コロナが落ち着く、ワクチンが開発されたら“ ではなく、今後変貌する世を先読みし、多少の事業モデルの勝負に資金と人材のヘッドハントを含めるのが毎回の米国市場での事業獲得、成功の鍵なのではないでしょうか。