2021年 米国のビジネス環境

2021年に向けてアメリカ(カリフォルニア/ハワイ)に事業展開を考えておられる方、企業様。
一方、アメリカの事業を閉鎖、縮小、統合を考えざるを得ない方。様々なご事情が多い年となりました。

2020年度は皆様ご存知のような、観光、飲食、運輸、娯楽、小売業界は大打撃を受け、民事再生(Chapter 11)を申請した企業件数はこの20年代で最も多い数を記録。航空会社は公的支援にまでには至っていないものの、2021年度には大掛かりな再編は避けられない事態です。ただ北米の事業再編は、非常に早く進みます。春先に民事再生(Chapter11)に入った老舗高級百貨店のNeiman Marcus社は夏に再生案が法廷で認可され、プライベートエクイティーの支援で完全倒産を逃れています。同様に老舗一般庶民向け百貨店のJCPenny社は大手不動産ファンド運用のSimon Property社とBrookfield社の支援の元、再生される事となっています。
『勝ち組と負け組』、『景気の戻りはU? V? K? 何字型? 』のような話題は米国産業では存在しません。その様な話の最中には企業は倒産、再生、買収、合併されて行きます。リスクとリターンを、”取れる”、 ”取れない”で判断し、日々決行をしていると言う事が最も重要視されています。誰が進めたか、誰が決めたかも重要ですが『誰がその勝ち負けを評価し、結果に結びつけたか。』が日々称賛されているアメリカ産業社会です。
個人が会社で評価されなければ、ヘッドハンティング/プライベートエクイティーなどが何倍もの報酬で引き抜きます。

本年はIPOよりSPAC (特別目的会社)を活用して上場させたリバースマージャー手法が目立っています。凄まじい勢いで成長企業/優良企業が上場を果たし、更にある程度名が通った個人/ファンドが旗をあげれば、その旗に数百億円、数千億円が数ヶ月で集まり、その資金で創業2年から20年程度の新興企業が買収されて上場を果たしています。
技術や新しい事業形態(Business Model)は今や ”私” (Private Market) の場ではなく、”公” (Public Market)の場で試され、生き残りをかける時代になった事がこのSPACを物語っています。(従来、事業は最低でも平均10年は ”私” の場で成長、安定期を経て上場するのが一般でした。)

”世が変わった”(New Normal)という言葉は、2020年で ”死語” となるでしょう。今後どの様になるかを話し合い、組織内で決めていては自身が生き抜けない世界の急変期に入っています。その先端を進むのは常に、アメリカの産業界と中国、ロシアの政府機関(この二カ国は産業を政府か管理する社会主義国の為)です。