米国経済:新型コロナウイルスの影響(2)

弊社を創業し約20年が経ち、その間様々事変に遭遇、対応して参りました。
インタ-ネット(.com)バブル崩壊では、殆どのインターネット関連企業が影響を受け、株価が$0になった新興企業から、大企業でも7−8割下げ回復まで7−10年掛かる事態に陥りました。その直後には同時多発テロで約3−7日間米国の空を航空機が全く飛ばない事態で、経済の回復まで3−4年。さらに2008年にリーマンショックの到来で約6−8年掛かり景気は再回復。リーマンショックは100年に一度の恐慌に匹敵すると称されましたが、今回の新型コロナウイルスCOVID-19は同様約100年のスペイン風邪(1918年Spanish Flu)と比較されています。当時海外蔓延に約1ヶ月以上掛かったその時代から、数時間・数日で世界を襲う今の世の中。しかし逆にそのワクチンの研究・情報の共有が瞬時に行われ発見も早いことと予測されます。
米国資本市場(米国株式相場)では、今回の影響で平均18%程度調整が入っています。(3月11日の相場)

痛手の産業
運輸・海運・観光・食品(飲食)業は軒並み2−4割の株安。3月初旬にトランプ大統領は各主要航空会社のCEOとヒアリングを行い、おそらく業界再編と公的資金の投入は避けられないでしょう。運輸・海運も早々に各港の管理会社代表が議会に呼ばれ公聴会が行われました。
製造業・半導体・自動車等の物つくりの産業は同様に打撃を受けていますが、3月13日時点大打撃までには至っていない状況です。主要半導体企業の株価は約18−26%程度の調整。
昨年度秋頃の相場に戻っている状況です。
小売業界は元々インターネット事業による影響で再編を避けられない悪環境の中、追い打ちをかけるような事態に陥っています。今後様々な小売・店舗事業の清算・再編が起こりうるでしょう。
外食産業は日本程の市況には陥っていません。日本では3−4割の落ち込み。半分以下の事態にも陥っていますが、米国全域では未だ10−15%程度という発表に留まり、主要企業の株価もその程度で現状では収まっています。

先行き
今後はどうなるのであろうか?“不安ばかりの報道に嫌気がさす”と言う心境の方も多いでしょう。
過去の事例、以前の起きたSARS、MERS、エボラ熱、同時多発テロ、リーマンショック、.comバブル崩壊、東北大震災の市況を思い出し、状況、回復を調べられている方々もいらっしゃるかもしれません。しかし当たり前かもしれませんが毎回違う市況であると言うことを念頭においてください。
今回は中国で発症、アジアショックで世界の製造に打撃を与えた。するとウィルスが飛び火し、日本、韓国、イタリアなどを中心に世界的な警戒通告が波及。恐怖を与えています。
その実態を資本主義・民主主義第一の米国首脳陣はどの国よりも効率的かつ効果的に動いていると私は思います。
4月−6月の本年第二四半期の経済動向は、全ての数値において15−20%下落。ただ、米国の市場心理(Sentiment)は良好。日本のメディアが“世界の動向”と言う報道は全て過大報道をしていると思えますので、その点には気をつけてください。
リーマンショックで相対的に見ると“12−18ヶ月を生き抜けるだけの資金力がある人・企業は生き抜けた“ という点ではないでしょうか。

日系企業が回復に乗り遅れる傾向
米国では常に日本の企業は“経営判断が遅い”と称されています。常に日々変わる世界情勢・人の動き、顧客の動向、判断材料を入手し、翌日にでも自社の考え、判断を相手先に伝えられる準備が必要です。“会社に確認します”“上司に聞いてみます”と言う返答をしないように心がける重要な過渡期にいる点は意識したいと思います。

リモート・人と接触しない社会
多くの企業、オフィスでは自宅待機状態だと思います。出張・買い物も控え、人と交わる時間を最小限に抑えています。今後我々を取り巻く本格的なデジタル社会で、何が必要でどのような技術・社会が重要になるかを世界77億人の人口に課せられている実態であると思います。
たった、3ヶ月前には人口77億人の内、誰一人としてもこのような危機に襲われることを予知していた人はいないはずです。皮肉な出来事ですがデジタルとアナログの間の時代を実感します。
ジャパンコーポレートアドバイザリー 代表:平井