Tag: 新型ウイルスの影響

2020-04

シリーズでお送りしている、”新型コロナウイルスによって米国の経済、日系企業の米国事業への影響”の4回目になります。   米国経済:新型コロナウイルスの影響(2) 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大と共に、アメリカ(人口3億2千万人)感染者数がいよいよ20万人を越え、世界最高者数(世界の18%)を記録した。その中で圧倒的に多いのが、ニューヨーク州(全米の40%)、ニュージャージー州(全米の10%)。この2州で全米の過半数となった。2001年の9.11同時多発テロの際に全米で約3,000人が亡くなった記録を超え、死者数は全米で4,400人となった。やはりその数はこの2州で過半数となる。 ちなみに、全米の人口の13%(約4,000万人)を抱えるカリフォルニア州の感染者数は8,100人に止まり、アメリカ人口に占める感染者率はNY、NJ州の約1%に比べカリフォルニア州は0.02%と圧倒的に納まっている。
3月19日(木曜日)米西部カリフォルニア州のニューサム知事は、新型コロナウイルスの感染対策として、全住民に対し、食料の買い出しや通院など生活に必要な場合を除き、不要不急の外出はせず、自宅にとどまるよう命じた。感染が住民の半数以上に広がる恐れがあるとして、医療体制の崩壊を防ぐため、期限を定めずに大規模な外出禁止に踏み切った(当初期限4月上旬から今日現在では5月初旬まで延期されている)。カリフォルニア州知事は全米で初の州としての州民Shelter in Homeを発令した。(直後に知事はサンフランシスコ出身であることから市内のホームレス問題に配慮しShelter in Placeと修正)。他州とは1週間から10日間の違いではあるが、これが今となって10倍の違いを生んでいる。CAは州民への爆発感染、経済への打撃を封じ込んだとも言える。 一方、感染者数2,500名(4月2日)では断然低い日本ではあるが、その政府と各官庁、中央銀行の判断は憲法や職権の問題があるかもしれないが先進国とは言えない実情。人口(1億2千万人)に対する感染率は0.002%とは言えども、東京都と大阪府の知事のみの積極的な活動だけでは先々の爆発感染が不安である。米国政府は3月28日の週末において大きな瀬戸際の判断に踏み切った。経済は二の次、国民の命を第一に方針を転換(SHIFT)した。その事情を日本側からの新聞、ニュースでは『アメリカの判断が誤っていた』、『アメリカは訂正をした』と報道していた。その受け止め方の差と認識がどのような結果に出るであろう。 その日本は今、国民の健康と経済の判断が下されない状況下、オリンピックが中止ではなく延期された事に安堵をしている。 全米の経済は既に第一底を突いた。各州の経済対策、各企業は政府に頼らない方針を次々と打ち出している。
だが、市場は今後の第2第3底をどの程度か、いつ来るのか、見極めている。 第二四半期(4−6月)の全米、世界に波及する悪材料は織り込んでいる。
全米の失業率は現在の3.5%から10−15%程度までの悪化を読んだ。それが30%を超える地方中央銀行総裁(クリーブランド総裁)の予測も上がっている。
主要企業の現金残高、売り上げ、収益率も同様に本格的な夏休み前までの悪材料を織り込んだ。今後は、7月以降、夏(野球/MLB、アメフト/NFLのシーズン)、秋に向けての大統領選、事業の期首が誰によってどう定まるかを見極めている現状である。 ベンチャー起業は世界初の(米国FDA仮認可)新型コロナウイルスの感染検査機を発表。約15分で感染結果わかるそうだ。温度計計測結果をクラウドデータに上げ、それを政府と共用する事で国民の温度データを取る製品を宣伝。 各主要報道局では、アナウンサーを自宅からでも個人で報道ができるように、テレビ局並みのコンパクト機器を自宅で導入させ、テレビ同様の画質と音質で報道するいう新たな報道方法に旋風を巻き起こしている。
またベンチャーキャピタルの運用資金は、多額で目減りはしているものの、米国民には開拓の精神が生き延び、良い意味で楽観視し、新たな明日があると信じていることから、『これからは ”新しい常識の世界が始まる”のである。』としている。 ビデオ会議周辺機器、人との折衝機器、遠隔ソフト、リモート運用機器、無人物流機器、等々への投資がサンフランシスコ・ベイエリアでは日々活発に飛び交っている。 主要先進国のあり方、巨大大国のアメリカ。島国であるが戦後作れ!作れ!で成長を遂げてきた日本。貿易戦争で喧嘩を売ってきたアメリカの行方。今は世界の命を救う時である。
だが、実業の世界では既に先陣を切った主要企業が続々と動き始めている。半導体は来年、再来年を見越した研究は止まらず進行している。
医薬、食品小売、生活物流、インターネット生活必需販売、テイクアウト(TO GO), ドライブスルー、デリバリー(出前)などは毎日がクリスマス商戦並みの勢い。全米で約320万人が先週失業支給手当を申請した。(4月2日の発表は620万十倍に膨れ上がった。)
一方アマゾンとウォールマートの2社のみで、その15%に当たる50万人を目先雇用すると報道されている。新しい常識の準備期間といえよう。

2020-03

米国経済:新型コロナウイルスの影響(2) 弊社を創業し約20年が経ち、その間様々事変に遭遇、対応して参りました。 インタ-ネット(.com)バブル崩壊では、殆どのインターネット関連企業が影響を受け、株価が$0になった新興企業から、大企業でも7−8割下げ回復まで7−10年掛かる事態に陥りました。その直後には同時多発テロで約3−7日間米国の空を航空機が全く飛ばない事態で、経済の回復まで3−4年。さらに2008年にリーマンショックの到来で約6−8年掛かり景気は再回復。リーマンショックは100年に一度の恐慌に匹敵すると称されましたが、今回の新型コロナウイルスCOVID-19は同様約100年のスペイン風邪(1918年Spanish Flu)と比較されています。当時海外蔓延に約1ヶ月以上掛かったその時代から、数時間・数日で世界を襲う今の世の中。しかし逆にそのワクチンの研究・情報の共有が瞬時に行われ発見も早いことと予測されます。 米国資本市場(米国株式相場)では、今回の影響で平均18%程度調整が入っています。(3月11日の相場) 痛手の産業 運輸・海運・観光・食品(飲食)業は軒並み2−4割の株安。3月初旬にトランプ大統領は各主要航空会社のCEOとヒアリングを行い、おそらく業界再編と公的資金の投入は避けられないでしょう。運輸・海運も早々に各港の管理会社代表が議会に呼ばれ公聴会が行われました。 製造業・半導体・自動車等の物つくりの産業は同様に打撃を受けていますが、3月13日時点大打撃までには至っていない状況です。主要半導体企業の株価は約18−26%程度の調整。 昨年度秋頃の相場に戻っている状況です。 小売業界は元々インターネット事業による影響で再編を避けられない悪環境の中、追い打ちをかけるような事態に陥っています。今後様々な小売・店舗事業の清算・再編が起こりうるでしょう。 外食産業は日本程の市況には陥っていません。日本では3−4割の落ち込み。半分以下の事態にも陥っていますが、米国全域では未だ10−15%程度という発表に留まり、主要企業の株価もその程度で現状では収まっています。 先行き 今後はどうなるのであろうか?“不安ばかりの報道に嫌気がさす”と言う心境の方も多いでしょう。 過去の事例、以前の起きたSARS、MERS、エボラ熱、同時多発テロ、リーマンショック、.comバブル崩壊、東北大震災の市況を思い出し、状況、回復を調べられている方々もいらっしゃるかもしれません。しかし当たり前かもしれませんが毎回違う市況であると言うことを念頭においてください。 今回は中国で発症、アジアショックで世界の製造に打撃を与えた。するとウィルスが飛び火し、日本、韓国、イタリアなどを中心に世界的な警戒通告が波及。恐怖を与えています。 その実態を資本主義・民主主義第一の米国首脳陣はどの国よりも効率的かつ効果的に動いていると私は思います。 4月−6月の本年第二四半期の経済動向は、全ての数値において15−20%下落。ただ、米国の市場心理(Sentiment)は良好。日本のメディアが“世界の動向”と言う報道は全て過大報道をしていると思えますので、その点には気をつけてください。 リーマンショックで相対的に見ると“12−18ヶ月を生き抜けるだけの資金力がある人・企業は生き抜けた“ という点ではないでしょうか。 日系企業が回復に乗り遅れる傾向 米国では常に日本の企業は“経営判断が遅い”と称されています。常に日々変わる世界情勢・人の動き、顧客の動向、判断材料を入手し、翌日にでも自社の考え、判断を相手先に伝えられる準備が必要です。“会社に確認します”“上司に聞いてみます”と言う返答をしないように心がける重要な過渡期にいる点は意識したいと思います。 リモート・人と接触しない社会 多くの企業、オフィスでは自宅待機状態だと思います。出張・買い物も控え、人と交わる時間を最小限に抑えています。今後我々を取り巻く本格的なデジタル社会で、何が必要でどのような技術・社会が重要になるかを世界77億人の人口に課せられている実態であると思います。 たった、3ヶ月前には人口77億人の内、誰一人としてもこのような危機に襲われることを予知していた人はいないはずです。皮肉な出来事ですがデジタルとアナログの間の時代を実感します。 ジャパンコーポレートアドバイザリー 代表:平井